• 検索結果がありません。

機器センター(3ページ) 分子研リポート2009 | 分子科学研究所

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "機器センター(3ページ) 分子研リポート2009 | 分子科学研究所"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

研究施設の現状と将来計画 291

8-4 機器センター

機器センターの役割は汎用機器の維持・管理・運用と所内外の施設利用者への技術支援である。機器センターでは 化学分析機器,物性測定機器,分光計測機器,液体窒素・ヘリウム等の寒剤供給装置と,大別して4つ機器の維持・ 管理を行っている。また,いくつかの機器を大学連携研究設備ネットワークに公開しつつ,この事業の実務を担当し ている。機器センターにはセンター長(併任)のほかに9名の専任技術職員(化学分析機器2名,物性測定機器2名, 分光計測機器2名,寒剤装置2名,研究設備ネットワーク1名)と2名の非常勤事務職員(機器センター1名,研究 設備ネットワーク1名)が配置されている。技術職員が担当する機器は厳密に分担が区分けされているわけではなく, 研究設備ネットワークの運用システムの支援にも参加し,分子スケールナノサイエンスセンターの保有する 920. M H z. N M R や高分解能電子顕微鏡の維持管理にも参加している。平成19年4月に発足した機器センターは発足後の3年間 でほぼその姿を整えつつある。平成21年度は機器センター事務室の化学試料棟から南実験棟一階への移転,研究設 備ネットワーク予約課金システムの改善,古い装置の更新と新しい装置の導入,施設利用者向けの広報誌「機器セン ターたより No.2」の発行などを行った。

8-4-1 設備

化学分析機器は山手地区に N M R ,質量分析装置,元素分析装置,粉末X線回折装置,円二色性分光装置など,物 質合成を行う上で必須の装置が配置してある。平成21年度は元素分析用電子天秤の更新を行った。また,昨年導入 した生体試料用の示差走査型カロリメータおよび等温滴定型カロリメータを平成22年4月より研究設備ネットワー クの予約システムを通して所外公開する。物性測定装置は明大寺地区に E S R ,S Q U I D 磁束計,X線回折装置,熱分 析装置など,新たに開発した物質の物性を評価する上で必要な汎用装置を配置している。平成21年度は極微小結晶 用単結晶X線回折装置(C C D -3)の制御システムを更新した。このほか,液体ヘリウム輸送管とリークディテクター を新たに購入した。分光計測装置は三種のパルスレーザーシステム,波長可変ピコ秒レーザーシステム,蛍光分光装置, 紫外可視近赤外分光装置などの汎用機器を明大寺地区に配置している。機器センターの蛍光分光装置は近赤外領域の 蛍光を高感度で測定できるという特色をもっているが,購入後14年経過している。平成21年度は老朽化した制御シ ステムを更新し,それに伴い,励起光用と試料光用の二つの分光器を更新した。

「化学系研究設備有効活用ネットワークの構築のための最先端設備」に対して平成21年度の補正予算が交付された。 分子科学研究所に交付された予算で生体分子計測用高磁場低エネルギー核磁気共鳴装置(600. M H z)と高感度パルス 電子スピン共鳴装置(Q - band)を購入し,機器センターが管理することになった。平成21年度末に納入される両設 備は研究設備ネットワークの予約システムを利用して,平成22年10月から所内公開し,平成23年4月から所外に も公開することを予定している。このほか,平成21年度は所長より顕微ラマン分光装置を購入するための予算が機 器センターに投入された。この装置は励起光として3本の半導体レーザーと1本のガスレーザーを有し,試料を液体 ヘリウム温度まで冷却することができる主に固体試料を対象とする装置である。この装置は平成22年9月を目途に 準備が整い次第,所内・所外に公開を開始する。明大寺地区のヘリウム液化装置は購入後20年が経過しており,運 転不能となることが危ぶまれていたが,平成21年5月に液化装置の心臓部が故障し,修理不能となった。関係各位 のご支援により,ヘリウム液化装置の更新を急遽平成22年度の概算要求に追加して平成22年度の予算内示を受ける ことができた。平成22年2月4日に第一回の仕様策定委員会を開催し,平成23年8月の納入を目指して導入手続き を開始した。

(2)

292 研究施設の現状と将来計画

機器センターの所有する機器は汎用機器が主であるが,高周波 E S R (B ruker. E 680)のような特殊装置も保有してお り,共同利用を通して特色ある研究を展開している。前項で説明したように平成21年度には更に Q バンド領域のパ ルス E S R システムを追加した。このほか,機器センターは 15 テスラーの超伝導磁石を付属した希釈冷凍機を保有し ている。これは研究領域の研究グループから移管された装置で,分子磁性体や分子導体などを研究する上で有用な装 置であるが,汎用装置とは言い難い。平成21年度より大阪大学理系大学院の中澤康浩教授を物質分子科学研究領域 の客員教授として招聘し,高磁場・極低温下における比熱測定装置の設計を開始した。現在,大阪大学で開発した緩 和法による比熱測定装置を希釈冷凍装置に組み込んで実験を開始しており,平成22年度中の完成を目指している。

8-4-2 利用状況

機器センターの共同利用の形態は施設利用であるが,前期後期に分けて年二回の施設利用を受け付けている。平成 21年度の所外施設利用件数は平成22年2月末現在で51件である。所外施設利用者には半期に一件あたり2泊3日 の旅費を1回支給しているが,1回で目的が達成されるような実験は非常に少ない。そのため,自費で分子研に来所 する施設利用者も多い。このような施設利用の統計を昨年に引き続き発行した「機器センターたより N o.. 2」に掲載 した。この施設利用者向けの広報誌は施設利用の実態を把握し施設利用者と機器センターとの交流を図ることを目的 としている。新装置および更新装置の欄を設けて,平成20年度に新たに導入した装置と更新を行った装置の特徴と 性能をホームページよりも詳しく説明した。研究紹介欄では所外・所内の機器センターヘビーユーザーに執筆を依頼 した。また,「機器センターたより」は新たな施設利用者を発掘することができると考えており,毎年一回発行する ことを計画し IS S N 番号を取得した。

8-4-3 今後の課題

(1) 機器センターの運営委員会は4つの研究領域から推薦された委員と機器センター職員で構成される所内委員会で ある。所外施設利用者の意見をすい上げる場として機器センターたよりの交流欄をもうけ,投稿をよびかけているが まだ投稿はない。今後は,機器センター運営委員に所外委員を入れて,外部の意見を反映できるようにする必要がある。 (2) 平成21年度より大学連携研究設備ネットワーク事務室を南実験棟一階へ移動した。実験棟耐震工事に伴ってス ペースが確保できない状況になっているため,現在使用している2部屋は機器センター事務室も兼ねている。工事が 完了する平成23年度からは機器センター事務室としてもう1部屋を確保する必要がある。これに伴い,南実験棟一 階の部屋の再配置を行う必要がある。

(3) 現在,機器センターは極低温棟二階にインターネットその他が利用できる共同利用者控え室を用意している。こ の控え室は極低温棟とレーザー棟にある機器を利用する施設利用者によって有効に利用されている。しかし,南実験 棟地下にある機器を利用する施設利用者にとって極低温棟はあまりにも離れすぎている。耐震工事終了後には,南実 験棟にも同様の共同利用者控え室を用意する必要がある。山手地区は所外施設利用者が少ないこともあって共同利用 者控え室が設置されていない。空き室はないので,部屋の再編が必要となるが,共同利用者控え室を作る努力をしな ければならない。

(4) 研究所の予算を長期的な視野に立って計画的に運用するという視点から,機器センターには平成20年度より新 しい装置が導入され始めた。また,研究領域の研究グループから移管される装置が今後もいくつか予定されている。 このような傾向は今後も続くことが予想されるので,機器センターの新たなスペースの確保と稼働率の少ない老朽化 した装置の廃棄を計画的に行う必要がある。

(3)

研究施設の現状と将来計画 293 (5) 山手地区の 500. M H z. N M R は平成7年に導入された稼働率の高い機器であるが,すでに14年が経過している。 制御用コンピューターは,ハードウウェアの補修部品の調達が困難になっているのみならず,オペーレーティングシ ステム(OS )を含めたソフトウェアーの保守が受けられない状況になっている。今後,トラブルが発生した場合,復 旧が不可能であり,共同研究の推進に重大な支障をきたすことになる。この装置の更新を常に念頭に置く必要がある。 この他,マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析計も高い稼働率で使用されているが,購入後10年経過し ており,更新を計画しておく必要がある。

参照

関連したドキュメント

2号機原子炉建屋への入力地震動は、「福島第一原子力発電所  『発電用原子炉施設に 関する耐震設計審査指針』の改訂に伴う耐震安全性評価結果  中間報告書」(原管発官1 9第603号  平成

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

原子炉等の重要機器を 覆っている原子炉格納容 器内に蒸気が漏れ、圧力 が上昇した際に蒸気を 外部に放出し圧力を 下げる設備の設置

11 2007/11/19 原子炉圧力容器漏えい検査の準備作業において、原子炉格納容

原子炉本体 原子炉圧力容器周囲のコンクリート壁, 原子炉格納容器外周の壁 放射線遮蔽機能 放射線障害の防止に影響する有意な損

柏崎刈羽原子力発電所において、原子力規制庁により実施された平成27年度第2回

解析においては、実際に計測された格納容器圧力の値にある程度あわせる ため、原子炉圧力容器破損時に原子炉建屋補機冷却系配管の損傷による漏え

廃棄物処理設備に相当するクラス 3 機器に準ずるものと位置付けられ,「JSME S NC-1 発電 用原子力設備規格 設計・建設規格」 (以下,「JSME